大判例

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東京高等裁判所 昭和50年(行ケ)6号・昭50年(行タ)8号 判決

原告 大沢松造 外二名

被告 新潟県選挙管理委員会

参加人 近藤光雄

〔抄 録〕

佐和田町は、昭和四九年三月二二日条例四号をもって、町長選挙の投票について法四六条の二第一項に規定する記号式投票によるものとし、その実施に関し同日規程五号をもって、記号式投票による選挙における投票の記載方法について法施行令四九条の三の規定に従い、○の記号を自書する方法及び○の記号をあらわす印をおす方法をあわせた方法によるものとしたことが認められるところ、法の認める記号式投票は、「投票用紙の記号を記載する欄に○の記号を記載」することがその要件の最たるものであり、○の記号を記載することを離れて記号式投票制度の存在を観念することは許されないというべきであるから、投票用紙に氏名が印刷された候補者のうちその投票しようとするもの一人に対して、投票用紙の○をもつける欄に○の記号を自書する方法又は○の記号をあらわす印を押す方法によらないで、■の記載をもってした右投票は、無効投票についての法六八条一号及び四六条の二第二項の規定にいう「成規の○の記号の記載方法によらないもの」に該当し、いずれも無効たるを免れないと解すべきである。もっとも、右投票の無効事由について、被告の見解は、「○の記号以外の事項を記載したもの」に該当するものとして法六八条五号及び四六条の二第二項の規定を適用するにあるが、にわかに賛同しがたい。

原告らは、右の■の記載をもってした投票は、諸般の事情から○の記号を記載した投票と同一視することができ、選挙人の投票意思を確認することができるものであるから、いずれも有効投票とすべきであると主張するので、これについてさらに考察する。

(一) 右の■の記載投票は、いずれも自書したものではなく、投票所の投票記載場所に備え付けた○の記号をあらわす印を使用して○の記号を記載する意思でありながら誤って右印の頭部方形面にスタンプインクをつけて押捺したことによるものであって、その記載自体から選挙人の特定候補者に対する投票意思を確認することができるものであると、原告らは主張する。

しかし、別表一の20から24まで、別表二の14から20まで、別表三の9から13までの各候補者の有効投票は、いずれも当該候補者の○をつける欄に■の記載があるほか、同じ欄に○の記号の記載があるものであるから、このように■の記載が存在する場合においても、○の記号の記載が存在することにより、当該候補者に対して投票しようとした選挙人の投票意思を確認することができるものであるが、前記無効投票のように投票用紙の当該候補者の○をつける欄又は氏名欄に■の記載のほか記号の記載がない投票は、その記載自体から原告ら主張のとおり記号の記載を誤ったと断定することも飛躍に過ぎるし、かりにその主張どおり記号の記載を誤ったとしても、あとでふれるとおり、その記載後その場において直ちに成規の○の記号の記載方法によりその誤まりを是正するか、投票用紙の再交付(取り替え)を申し出て成規の投票記載をすることができる筋合のものであるにもかかわらず、投票用紙の記載のやり直しを怠ったものである以上、右の記載自体からは到底選挙人の当該候補者に対する投票意思を推認するに足りないばかりでなく、そのうえ、原告ら主張の如き錯誤の故をもって前記■の記載があるだけの投票の■の記載を○の記号の記載と同一視すべきであるとすることは、記号式投票の建前を根底から覆えすものというのほかはない。原告らの右主張は採用しがたい。

(岡田 小林 中川)

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